今まで鏡岩音響を探るにあたって、実際に鳳来寺山でどのように音が響いているのかを調査する為に録音測定が行われてきました。
ここでは鳳来寺山での音の響きを有名にしたブッポウソウについて、考察していきたいと思います。
【仏法僧について】
初夏から夏にかけて「ブッポウソウ」という美しい声を聞かせ、一般的にはコノハズクと呼ばれます。
鳴き声の響きが、仏教の三宝「仏法僧」に聞こえることから、宗教的背景を得て、大切にされてきました。 一般に「ブッポウソウ」と呼ばれている鳥は美しい翼を持つ鳥で、この「コノハズク」とは異なります。
コノハズク (フクロウ科) 体長:約20cm 体重:70〜110g
アフガニスタンからアジア東部、日本、台湾、スラウェシ島の森林に生息します。オスメス同色で、全身灰褐色または赤褐色に黒色や黄色の斑があり、主に夜間、地上または空中で昆虫を足で捕らえます。 繁殖期にはなわばりをかまえると言われています。 鳳来寺山での生態系の調査は平成9年に行われ、個体数は減少、仏法僧は北の山岳地帯であれば、まだ僅かに見られるとの事です。
【鳳来寺山に生息する仏法僧の鳴き声についての考察】
鳳来寺山鏡岩のサラウンド音響を探るにあたって、仏法僧(コノハズク)の特徴を掴むことは非常に重要であると考えます。
何故、各地に生息する仏法僧(コノハズク)の鳳来寺だけが有名で、「特に響きが美しい」と人々の心を掴むのでしょうか?
研究室では鏡岩音響の魅力の発端となった仏法僧(コノハズク)の鳴き声を考察するために両神山、鳳来寺、奥志賀の3ヶ所で収録された 音声をサンプルとし、ノイズ処理を施して、それぞれの特徴を調べます。
NUENDO上でプラグインを使用し、3つの仏法僧(コノハズク)のフィールドノイズを除去します。
ノイズと倍音部や残響成分との見極めが肝心で、誤って倍音部分を削除してしまうと全く違う音になってしまうので注意が必要です。
「フィールドノイズ」とは?
一般的に録音の際に入ってしまう様々な環境雑音を指します。
例えば、風の音、木々のざわめき、川のせせらぎ、生き物の声などが山の中ではあります。
フィールドノイズを削除していくと、仏法僧(コノハズク)の3つのサンプルそれぞれに倍音成分に差があることが分かりました。
鳳来寺山
1KHz付近の鳴き声本体の波形の上、3KHzと6KHzのあたりに、合計二つの倍音が含まれていることが分かります。
奥志賀
大きく1KHz付近に鳴き声の波形がありますが、倍音成分はほとんど含まれていないことがこの図から分かります。
両神山
1KHz付近の鳴き声の波形の上、約3KHzのところに一つ倍音があることがこの図から分かります。
鳳来寺 1974年ラジオ放送
1KHz付近に存在する鳴き声の波形の他に、2K、3K、4K… と、最高で12KHzにまで倍音成分が含まれていることがこの図から分かります。
倍音が多く含まれているということは、より多く共鳴しているということが言えます。
この比較考察はあくまで入手できた3つの仏法僧音声ファイルのみで得られた結果であり、一概に鳳来寺以外が響かないとは断定することができませんが、 どうやら鳳来寺山は共鳴を起こし易いような環境にあると言え、その秘密は鏡岩にありそうです。
続いては、鏡岩の地形を考察し、その音響ロマンを探ります!
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