最初から大量のプリセットが組み込まれ、「1から音色を作る」よりも「大量のライブラリから音を探す」といった使い方が出来てしまう。 そんな近年のシンセサイザーからでは考えられない多大な労力であったのだろうと感じさせられます。だからこそユーモラスかつ繊細に作りこまれた、 先生の世界が出来上がったのではないでしょうか。先生の、音に対しての強いこだわりとその経験に、ただただ想いを馳せる次第です。 セミナーが終了してもしばらくは冨田先生を取り囲んでの質問や撮影が行われ、昔を知る方々は懐かしい視線で、若い方々は興味津々にMOOGIIIを眺めておいででした。 私自身、今回のセミナーを通してモーグシンセサイザーへの見方や観念が深化し、今まで以上に興味深い楽器と考えるようになりました。 決してモーグシンセサイザーは過去の遺物ではなく、工夫することによって、今だからこそという使い方があるのではないでしょうか。 勿論、演奏する個人によって全く異なった使い方や表現の仕方もできるのだとも思います。冨田先生がお使いになられ始めてから既に 35年の月日が流れたこのMOOGIIIには、 未だ新しい可能性が秘められているのかも知れません。
2006 年10月28日 漢那 拓也